日本郵政グループのゆうちょ銀行は3日、個人・法人向け融資など新規業務に参入するため、金融庁と総務省に認可を申請したと発表した。かんぽ生命保険も学資保険の見直しの認可を求めた。政府の郵政民営化委員会による審議を経て、来年4月の開始を目指す。将来の株式上場に向けて収益力を強化する狙いだが、民間金融機関からは「民業圧迫」との不満が出る公算が大きい。
ゆうちょ銀が認可申請したのは(1)住宅ローンなど個人向け融資(2)住宅ローンに伴う火災保険など損害保険の募集(3)法人向け融資――の3業務。
住宅ローンでは個人事業主や高齢者、女性など民間が積極的に取り組んでこなかった顧客層を中心に扱うほか、サラリーマン向けの商品も投入する。教育・自動車など無担保ローンも手掛ける方針だ。法人向けローンでは民間銀行と協調融資してきた上場企業や、「ふるさと小包」を手掛ける中小企業を貸出先に想定している。
ゆうちょ銀は2008年5月にスルガ銀行と提携して住宅ローンの仲介を開始、これまでの実績は2000億円を超えている。資金の7割以上を国債で運用する現行のビジネスモデルは利ざやが小さく、金利変動リスクも大きいとみており、本体による融資参入を準備してきた。
かんぽ生命は学資保険で子どもの死亡保障を減らし、民間に比べて割高な保険料を引き下げることで、取り扱いの拡大を目指す考えだ。
政府の郵政民営化委員会は8月上旬、金融2社の新規業務参入は、他金融機関との提携による取扱実績がある業務なら「調査審議を開始する支障はない」とする所見を公表するなど、業務拡大を容認する姿勢を示してきた。民間金融機関は「金融2社に政府出資が残る限り、公正な競争条件が確保されない」と反発している。
※日本経済新聞より
2012-09-04